秘密は女を綺麗にする


「あはは!そんなに落ち込まないの!」
「…先輩、馬鹿にしてません?俺、本気で怒ってるんスよ!」
「し、してないよ。あー、ほら、弦一郎だって悪気があったわけじゃないと思うよ。ほら、いつもの習慣と言うか…」
「俺が毎回怒れてるからって!習慣で俺のせいにされたらたまんないっすよ!」
「そうだよね。うん…ぷっ、あはははは!」
「っー!先輩!!」
「ごめんごめん!あはははは!」

可笑しそうにお腹を抱えて笑うに赤也は息を吐く。
部室に仕掛けられていた悪戯。扉を開けた瞬間、頭の上に雑巾が落ちてくるという単純な物だが、 それに見事引っかかった真田が、頭の上に落ちた瞬間、体を震わせて赤也の名を叫んだらしい。
だけど、それを実際に仕掛けたのは仁王なわけだが…。なかなか信じて貰えず冤罪だと赤也は拗ねている。

「ほら、拗ねない。私がなにかおごってあげるから」
「本当っすか?!」
「うん」
「よっしゃあ!」

「じゃあ帰りに二人で行こうか。今日は弦一郎、家の用事で先帰っちゃったから」と笑顔で言うは、 立海大付属高校の元テニス部マネージャーで、副部長である真田弦一郎の彼女だ。
赤也のことはきっと可愛い後輩くらいにしか思っていない。
だから、このやり取りもきっと弟の機嫌を取ろうとしている姉の感覚と変わらないはずだ。

「ミーティング内容纏めてるからちょっと待ってて」

そう言っては部室の机に座りペンを走らせている。 そんなの様子を赤也はじっと見つめる。

「(なんで真田副部長なのかなぁ…)」

赤也はのことが好きだった。
もちろん仮入部した時から優しくて、憧れていたというのもあるが…。 いつも見せてくれる笑顔と明るさにいつか惹かれていた。
今回だってそうだ。は簡単に自分の機嫌を取ってしまう。

先輩」
「なに?」
「真田副部長ともうキスしたんスか?」
「なっ!」

肩がビクッと跳ね、ポロリと手からシャープペンが落ちて、順調にノートを書いていた手が止まる。

「な、に?!突然…!」
「なんとなくっすよ。気になっちゃって」

「それで?どうなんスか?」と興味本位に見せかけた聞き方をすると、 が少し赤い顔をして軽く赤也を睨むも息を吐いて答える。

「してないよ」
「え!でも付き合ってもう2年以上経つって聞きましたけど?!」
「不純異性行為らしいよ。手握って貰えるのも1年掛ったんだから、卒業するまでないかな。私の方からなにかしたら怒るしね」
「副部長らしいっすね」
「そうでしょ。私だって浮気したくもなるよ」
「してるんスか?!」
「あ。しまった」

口が滑ったというようには自身の口を塞ぐ。 二人の間に気まずい沈黙が流れる。

「今はしてないよ…」
「じゃあ、昔したことあるんスか?」
「半年くらい前に一度だけ。中学の同級生と会った時、たまたまそういう流れに…。弦一郎に言わないでね。知らないから」
「その相手とは…」
「もう会ってすらないよ。なんか女の子として魅力がない気しちゃって一日だけデートしたって話。向こうも彼女いるしね。だから、別に弦一郎に言うことでもないでしょ」

少しずるいと赤也は思う。
ずっと会っていなかったのにも関わらず中学の同級生とはそういう関係になっても、 何度も二人きりでいても自分のことは、そういう目では見てくれていないと思わされる。
やはり二個下という年齢差のせいなのだろうか…。

「えっと、その時って…どこまで…」

戸惑う赤也の心境を察したように、机に肘をつきはニッと笑って答える。

「…内緒」
「えええ!そこまで話といてそれは無いっすよ!」
「その方が面白いでしょ?想像できるから」
「なっ!し、しないっすよ…」

赤也をからかう様に、クスクスと笑う。 だめだ。相変わらず年下の弟扱い。このままじゃ普段と変わらない。

「まぁ、でも本当はたまには妬かせるくらいのことをしないと駄目なんだろうけどね。あの時、隠さなきゃよかったかなぁ」
「!」

悔いるようなその言葉を好機と感じるように赤也はに詰め寄る。

「しましょうよ!」
「え?」
「俺と浮気、してみません?」
「赤也君と…?ぶ、あははは!ないない。例えそういうことがあったとしても信じてもらえないよ」
「じゃあ、尚更…好きなこと、できますよね?」

「え」とが驚いたような表情を見せた瞬間、 赤也がとの距離を一気に詰め、の唇を奪う。

「んっ…!」

ガタン!と椅子が揺れ、が赤也を引き離そうとした手を赤也が掴む。
の逃げる舌を強引に絡め取り、の太ももの内側に手を滑らせる。

「ん、んんん!!」

反応しながらも眉を寄せるから、抑えつけていた唇を離すと 息苦しそうにが肩で息をする。

「っ…はぁ…な…んで…突然…」
「好きなんスよ」
「え…」
「俺、先輩のこと、ずっと好きだったんスよね」

赤也はの肩に顔を埋め、ぺろりとの首筋を舌で舐める。
「…ぁ」と小さく反応するの首を軽く噛んで、の胸に左手を沿える。
それに気付いたが、「待って…」と声をあげる。

「やっぱダメ…っスか?」
「ダメ、というか…ぁっ!」

動かされる赤也の手に体が反応してしまう。その手が妙に優しくて…全力で拒めない。
制服のネクタイを外され、ブラウスのボタンが外されていく。 わずかな隙間が出来た服の中に侵入して、下着の上から触れられる赤也の手がどんどん心地よくなってくる。
意識が可笑しきくなりだすのを拒むように、は服の中に侵入した赤也の手首を掴む。

「っ…!最後まで…」
先輩?」
「やるなら、最後までしよう。赤也君」

「中途半端は嫌」というの事にゴクリと唾を飲む。

「いいっスよ」
「その代わり、内緒、だよ」
「でもそれじゃあ…」

言いかける赤也の口に手を添える。

「大丈夫。今度はバレるまで…続けるから」
「…もし、バレなかったら?」
「さぁ、分かんない。それに今日だけじゃ弦一郎に信じて貰えそうにないから」
「そんなにあり得ないって思われてんスかねぇ…俺…」
「ふふっ…。だから意識、させるの」
…先輩…」

は赤也の首に手を回し、微笑んで見せる。

「でも赤也君こそ、いいの?バレたら今度は校庭20周くらいじゃ済まないよ」
「そんな覚悟なしに手出してないっス。俺、先輩のこと、本気なんで」
「…私、そんな簡単じゃないよ」
「分かってますよ。だから、これは俺が勝手にやったことに、しましょうよ…!」 「あ…っ」

のスカートの中に手を侵入させ、のショーツに手を添える。 赤也が手を動かすと、の抑えていた声が徐々に漏れはじめる。

「…あ、ん…あ…私は利用、してるのに?」
「本気にさせますよ。それにどうせバレるまで、続けるんでしょ?」
「そ…う、あっ、あ、ん!だめ、そんなに手動かしちゃ…」

ビクビクとの体が反応する。
の敏感な箇所をショーツの上から指で刺激すると、 じわりとのショーツが濡れはじめる。

「体は正直っスね。先輩」
「後輩が生意気…!」

乱れた制服。外されたネクタイ。濡れたショーツ。
そしてダランと力が抜けたように、股を開いて椅子に座り息をするがやけに厭らしく感じる。
そんなに手を伸ばし、制服のスカートを脱がせるとブラウスのボタンを全て外して露わになる胸元に赤也は顔を埋める。

「ふっ…ぁ…」
「ん…」

カリッと胸元に歯を立て赤い印をに残す。

「副部長から全部奪い取ってやりますよ」
「…あの雑巾事件の冤罪の腹いせに?」
「ええ?!い、や!そんなんじゃなくて!」
「あはは…可笑しいなぁ。私、無理矢理犯されてるのに全然怖くない」
「それは俺が先輩の事が好きだからですよ」
「そっか」

ブラジャーのフォックが外され、露わになる白い肌。 胸の先端に軽く触れながら揉み上げると、が声を上げる。

先輩…」

赤也は名前を呼び、の口を塞ぐように口付ける。

「は、ぁ…んん…」

の胸を揉み上げる手とは反対の手で、のショーツに手を伸ばす。 ショーツの中に手を入れ、直接の敏感な箇所に指を触れる。

ビクン!!

「ん、んんん!!」

の体が今までになく反応を見せる。
自身の中に入り出した指に反応するようにの腰が動く。
唇を離すと、二人の間に繋がってた糸が垂れるように、の口元に流れる。

「や…ぁ…」

肩で息をし出すにさらに刺激を与えるように、 二本目の指をの敏感な箇所に挿入し、かき乱し始める。

「だ、め…!あ…ああ!」

優しさから一転して、激しくかき乱される指に、の体が仰け反り出す。

「気持ちいいでしょ?先輩…俺ならいつでも相手しますよ」
「だ、め!や、ぁ……あっ!」

ドクンと何かがはち切れたように一瞬意識が遠のき、は力が抜ける。

「…はぁ、はぁ」
「好きなんです。先輩…」
「……だめ」
「どうして?」
「ぁっ!」

耳元で囁きながら、の中を再び刺激する。 グチュグチュと静かに響く音が、考える思考を奪い出す。 もはや意味のなしていないショーツをから脱がす。

先輩…このまま俺にしちゃいましょうよ」
「あ……や、だ…ぁ。でもそこ、いい…。イ、く…っ!ぁん、あああ!」

だめだ…。心のどこかで罪悪感を感じながらも刺激を与える指と甘いささやきでどんどん快楽に落ちていく。

「…最後まで、っていいましたよね?」
「そう…最後まで…」

はそっと赤也のズボンに手を伸ばす。 膨れ上がった箇所に手を触れると少し眉を寄せる。

「……いいよ。それ言ったのは私だから。やってあげる」

ズボンのボタンとチャックを下ろし、パンツと一緒に脱ぎ捨てると、 がすでに固くなっている赤也のものに手を振れ、ゆっくり手を動かす。
少し辛そうな表情をする赤也を見て、は悪戯に微笑む。

「ねぇ、私の何処が好きなの?教えて」

そういうと、濡れはじめた赤也のものの先端をペロリと舐め、「は、む、ん…っ」と口に加えた。

「っ!先輩…!」
「…ん」

互いに共通している罪の意識が余計に快楽へと誘ってしまう。

この時から始まった誰にも言えないの関係。
このまま落ちるのはどっちが先か…?


、帰るぞ」
「ごめん。弦一郎、私、今日、赤也君におごってあげる約束なんだ。先帰ってて」
「ん?そうか」
「じゃあね」

「行こう」と言っては赤也の手を引く。

「あ。すいません。副部長…」
「ああ。別に構わん。そういう約束があったらな」
「ごめんね」
「それじゃあ、お先っス!あ!先輩は自分が家まで送るんで!心配ないっすよー!」

いつも通りの日常会話。
なにもおかしな事は無い。

「…心配ないって、赤也君がそれ言う?」
「嘘じゃないっスよ。少なくとも俺以外に手出される心配は無いでしょ?」
「もう…」
先輩…今日も…」

赤也はそう言っての耳元で囁き、首筋に口付ける。

「ん…っ!もう!早い!せめて学校見えなくなってから」
「えー…」
「甘えない。バレたら終わりだよ」
「…でも、先輩もう好きでしょ?俺のこと」
「内緒」
「えええ!またそれっスか?!先輩、やってる時も絶対に俺のこと好きって言ってくれないんだもんなぁ」
「じゃあ、もうちょっと頑張ってね」
「絶対言わせてみせますよ!」
「そうだね。それが出来るなら弦一郎と別れてあげる」

赤也の腕に手を絡ませ、にっこり笑う彼女の心はまだ分からない。



あとがき
現在行っている第2回リクエスト調査企画より。
「切原赤也に強引にされるお話が読みたいです」という読者リクエストにお応えさせていただきました。
赤也夢は書くこと自体おそらく初めてだったのですが…まさかの寝取りルート…(笑)
ちょっとリアリティを追求してみたのですが、ちょっとやばい感じの夢主になってしまいましたね…。
果たして、こういうタイプの夢主が受け入れられるのかという不安はあるのですが、如何でしたでしょうか?
リクエストありがとうございました!